そいつは花が好きだと言った。
花びらが、茎が、根が、全てが好きだと言った。可愛らしく、美しく、かっこいいと褒めそやした。
でもそいつは残酷だった。
晴れの日にその花に近寄ったけど、雨の日にはまともに見ることも無かった。雨で折れそうな花を傍目に、傘一つくれてやらなかった。
そいつは花びらが特に好きだと言った。とても美しく舞う花びらが好きだと。その花びらを愛でていた。でも雨の日、落ちる花びらにそんな事は言ったこともなかった。
そいつは花が好きだったのだろうか。
そいつは花を好きだなんて言えるのだろうか。
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